きみが死ぬまでそばにいる
 
 ――先輩。もしも父さんが俺を認知しなかったら、その時は俺達の勝ちです。

 彼がそう言って、わたしの元を去ったのは、互いに高校生だった頃。
 結局、父はわたしたちが別れたのに安心しきって、彼を認知しないまま死んだ。
 どこまでが偶然だったのか、わたしには分からない。もしかしたら、彼は……と考えたこともあるが、それは多分知る必要のないことだ。
 父の大切なものを奪って、のうのうと暮らしている、この日常がわたしの幸せ。
 復讐は形を変えて叶ったのだ。だから、それ以外には何も知らないふりをする。それでいい。



 わたしたちの結婚式の一月前に、彼の母親は自殺した。だからもう、わたしたちの秘密を知る者はない。
 わたしたちはどこにでいる普通の夫婦であり、家族。
 たとえ地獄に堕ちようとも、この秘密は墓の中まで持っていくと決めている。
 
< 147 / 147 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:44

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

義兄(あに)と悪魔と私
ごまプ/著

総文字数/80,920

恋愛(その他)228ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  慎ましい母子家庭に育った 北見円(きたみ まどか)。 念願だった母親の結婚、新しい家族。 同い年の連れ子の義兄は、 眉目秀麗・文武両道の超優等生 有坂比呂(ありさか ひろ)。 何もかも、上手くいくはずだった。 それこそが、悪夢の始まり。 ―*―*―*― 「自分が被害者とか、勘違いするなよ」 誰にも言えない母の秘密を守るため、 私は義兄の奴隷になった。 ヘドが出るほど大嫌い。 殺したいほど憎らしい。 兎の皮を被った、悪魔みたいな男。 だけど本当は気づいていた。 こんな、どうしようもない負け戦。  

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop