きみが死ぬまでそばにいる
 
 付き合い始めてからの陸は積極的だった。
 内緒にするという手前、部活では今まで通りだが、家に帰れば毎晩のように電話をした。
 話す内容はいつも似たり寄ったり。学校での出来事とか、テレビの話題。そして陸は、たまに自分のことも話した。

「ねぇ、椎名くん。電話代とか、大丈夫?」

 毎回かけてくるのは陸からだったから、少し気にかかっていた。クラスでは、電話のし過ぎで親に携帯を取り上げられたという子の話を聞かなくもない。

『大丈夫ですよー。うちの親、俺に甘いから』

 親の話が陸の口から出たのは初めてだった。あの人間のクズのような父親か、それとも泥棒猫の母親だろうか。

「椎名くんの家って……もしかして結構お金持ち? なんて」
『どうですかね。普通だと思いますよ。でも、どうして?』
「大したことじゃないの。なんとなく育ちが良さそうだなって思って」

 自分で言っていて笑えた。汚らわしい二人の間に生まれた子供の育ちがいいとか。

『菅原先輩こそ幼稚園から私立のお嬢さまって聞きましたよ? 俺なんか高校からの外部だから、全然』
「お嬢さまじゃないよ、別に。母の実家が小金持ちってだけで」
 
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