きみが死ぬまでそばにいる
 
「そんなの別に気にしてないから。お父さんは、早く再婚してもいいんだよ。わたしはおばあちゃん達の養子になるから」
「何馬鹿なこと言ってるんだ。そんな気当分ないよ。父さんには母さんだけで十分だ」
「……そう? ならいいけど」

 わたしは小さく言って、早々に自分の部屋に逃げ込んだ。
 あの男の前では、何も知らないふりも楽じゃない。あのままいたら、全部ぶちまけてやりたくなる。
 もう少しの我慢だ。もうすぐ、全てが終わるのだから。




 何も知らない祖父母は、仕事を抜けて顔を出した父を歓迎した。
 祖母はいつもに増して張り切って、豪勢な料理で裏切り者をもてなした。それを美味しいと言って口にしながら、父は一体何を考えているんだか。
 さっさと愛人の女と再婚しないのは、この家の遺産を狙っているからなのか。わたしの中には、父に対する疑心ばかりが渦巻く。
 四人で囲む食卓は、まるで茶番劇だ。全てが嘘、偽り。それはわたしと陸みたいに。
 
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