きみが死ぬまでそばにいる
 
 国立公園にも指定されているという富士山を望む高原を訪れたわたしたちは、そこで散策および昼食をとる。
 あまりにも雄大で美しい景色を目の当たりにしたわたしは、内心「これは嫌でも良いレポートが書ける」と思った。
 正直言うと、山には全く興味がなかったが、いざ来てみるとこれはこれで良いのかもしれない。加えて周辺は標高が高く気温が低いため、暑さに溶かされそうだったわたしの体調は少しだけ回復した。

「紗己子、顔色よくなったね」

 泉がそう言ったのは、レストランでの昼食の後だった。
 女子トイレの鏡の前で化粧直しを済ませた泉は、ほっとしたように微笑む。

「え? ……そうかな」
「うん、朝と全然違う! 朝はずっと辛そうにしてたから」

 わたしの隣に陸がいたように、泉もほとんど部長といたにもかかわらず、わたしを見ていたのは意外だった。
 それは嬉しいと思う反面、申し訳なくもなる。
 
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