自分勝手なさよなら
お酒が回るほどに、皆の会話は職場や仕事から離れていく。
真奈美が彼氏のことを皆に愚痴ったり、加奈は出会いがないことを嘆く。
寛子はそんなとき、いつも聞き役だ。
ニコニコしながら、皆の会話に相づちをうつ。

私はといえば、いつもはご意見番…といったところなのだが、今日は少し調子が狂っていた。

話はふいに、内田くんの恋愛話に移る。

「内田こいつ、イケメンでしょ!モテるんですよ!
でもね~こいつはどーしよーもないタラシなんですよー」少し顔を赤くした坂本くんが言う。
「そうそう、本当こいつは悪い」泉くんも続く。

女性陣は
「えー?!」「うそ~!!」と歓声をあげる。
私もその中に交わりながら、内心は心穏やかじゃなかった。

別に内田くんに何があってもいいけど。
若くて可愛くて、何もない方がおかしいし。
けど別にこんな風に聞きたくないよ。

「違うんですよ!そーゆーんじゃなくて」
内田くんが割って入る。

「この間もな!女の子と海までドライブ行って、そのくせ告白されたらあっさり振って」
坂本くんの言葉が胸にぐさぐさ刺さる。
あたふたしている内田くんを横目に、私はそっと席をたった。

トイレに向かいながらケータイを覗く。
34歳まであと少し。
若い頃は誕生日に何してたんだろう。
0時を迎えるその瞬間をムダに大切に考えていた。

戻ったら話題が変わっていますように。そんな私の期待虚しく、まだ皆は恋愛トーク真っ最中だった。

真奈美が戻ってきた私に気づいて言う。
「亜希さんはいいなぁ、優しい優しいイケメンの旦那さんがいますもんねー。私も早く結婚したい~!」
「え、いやイケメンじゃないし…」
心なしか内田くんの視線がささる。
自意識過剰だろうか。


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