狼さんに喰われたい。
「私、一人で頑張ります。」


扉を開けるなり言い放った私に、親戚中がざわつく。


「美弥ちゃん...
流石に高校生が一人で生きていくのは...」


親戚を代表して父方の叔母さんがそう言った。


「大丈夫です。
卒業までは、バイトと母の作品でも売ったらどうにかなります。
それに高校を卒業したら、田舎にでも引っ越して細々とやっていきますから。」


私の提案に反対する人はいなかった。


ここで反対したら、私を引き取る責任が生まれるからだろう。






そうして私は約2年間、一人で生きてきた。

勿論、学校の友達や先生に支えられて。


明日、高校を卒業して、4月からは田舎に引っ越し、近所のスーパーで働くことになっている。
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