狼さんに喰われたい。
第1話
「大友さんはどうかしら?
あの人、お金持ちよ。」


「それなら緑さんだって...」


「そうねぇ。
斎藤さんにも伺ってみて、考えましょうか?」


両親を事故で失った私の引取先を、この扉の向こうで親戚が話し合う。


親戚中に嫌がられている私を見て、両親はどう思うだろう?


書道家だった母はいつも私に
"真っ直ぐに生きなさい"
そう言った。


このまま親戚中をたらい回しにされるんだろうか。


背中を向けた扉を見つめた。


椿 美弥 (ツバキ ミヤ) 16歳、
行きますかー
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