看板娘の嫁入り
「春彦さん!見てください!なんて可愛らしいのでしょう!」
「鞠かい?」
「昔、鞠をついた覚えがあります!赤色の神社の所でついたんですよ!」
「わたしは、ついたことないなあ。鞠かぁ。父様が許してくださらなかったものだから…。」
「そうなんですか…。…あ!かんざしです!」
「この色、いいね。つぼみにぴったりだ。」
「そうですか?桃色だなんて、合わないと思うのですが…?」
「つぼみに似合うよ、桃色は。…すみません、これを包んでくれますか?」
春彦は店の主人に金を払うと、品をつぼみの手に握らせた。
「お礼だよ、ありがとう。」
「いいのですか!?ありがとうございます!」
「…おや、帰らなければならない時間になったかな。」
「え…。春彦さん…。また、こちらにいらしてくださいね。」
「もちろんだよ。」
「待っていますから。ずっと。ずっと。」
「あぁ。直ぐに来るよ。」
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