あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 樹沙ちゃんのことだから、理由は自分のためではないと想像はついていたが、恋人を応援したいという彼女の健気さを思うと、涙が出そうになってくる。

「会社を作って早く軌道に乗せないと結婚できないな、って……彼が」

 少し気恥ずかしそうに、樹沙ちゃんが私に気を使いながら緩い笑みを浮かべた。

「うちの会社のイベントがきっかけで結婚することになったカップルがいたじゃないですか」

「……ああ、いたね」

 去年うちが手がけたイベントで出逢って、その後結婚に至ったカップルがいると、何日か前に社長がみんなに報告していた。
 その瞬間、私も樹沙ちゃんも嬉しくなって、思わず拍手したのを思い出した。

「そういうの聞いちゃうと、私も幸せになりたいって願望が強くなって……」

 それは人間として、女として……当たり前の感情だ。愛する恋人がいるなら、なおさら。

「友達もどんどん結婚していきますしね」

「そうだね」

「私、彼と結婚したいんです」

< 108 / 273 >

この作品をシェア

pagetop