あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「架くんは樹沙ちゃんにはやさしいね」

「なに言ってるんですか。葉月さんに対する態度のほうが激甘ですよ」

 そんな言葉が返って来るとは思っていなくて、思わず息をのんだ。

「架さん、肝だめしの件を社長に報告してるとき、すごく落ち込んでましたよ? 葉月さんに悪いことをしたって……」

 架くんが落ち込む必要はないのに。
 あの日のことは、私が悪いというか……ある意味事故みたいなもので。
 最後に不測の事態が起こり、迷惑をかけたのは私のほうだ。

「架さんは意外と繊細なのかもしれませんね」

 樹沙ちゃんそう言われ、架くんのことを思い出そうとすると、今朝のあの、怒りや焦りやいろんなものが含まれた架くんの表情が瞬時に脳裏に浮かんだ。

 最後の強引なキス……あれのどこが繊細なんだ、と思わず溜め息が漏れる。


 やはりあの行動は考えれば考えるほどわからない。謎だらけだ。

 私の気持ちがすさんでいるせいもあるだろう。心にいろんなフィルターがかかりすぎていて、人の気持ちが見えなくなっている。

 その自覚はあるのに、フィルターの外し方がわからないのだ。

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