あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「どこかでお茶でも……って言いたいところだけど、嫁さんとの待ち合わせ場所に向かう途中で、残念ながらあまり時間がないんだよ」

「え?! 市川さん、ご結婚されたんですか?」

 咄嗟に彼の左手を見ると、銀色のリングが薬指に光っていた。
 私より二年先輩だった市川さんは、一緒に働いていたころは若かったけれど、考えてみたらあれからかなりの年月が過ぎている。
 私がもうすぐ二十九歳なのだから、市川さんは三十一歳だ。
 思わず驚きの声をあげてしまったが、結婚していても全然不思議ではない。

「遅くなりましたが、ご結婚おめでとうございます!」

 そういえば……一緒に働いている当時、恋人がいるような話を聞いた気がするけれど、それは今の奥様なのだろうか。
 それをズバリ尋ねられるほど私と市川さんは親密ではなかったし、そこには触れずにいるしかない。

「ありがとう。結婚したのは半年くらい前なんだ。長く付き合いすぎて、完全に結婚のタイミング逃してたのに」

「……え?」

 どういう意味かよくわからなくて首をひねってしまったけれど、今の発言から察すると、お相手の女性はあのころと変わっていないのかもしれない。

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