あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「ナンパされて、なんでついて行くかな……。しかもあんな怪しい男に。タイプだったのか?」

「違う! それにナンパじゃなかったの。ICカードのチャージの仕方がわからないって困ってそうだったから……」

「超高齢の爺さんじゃあるまいし、あんな若い男がチャージを知らないなんてありえないだろ」

 ……だよね。冷静に考えたらそうだ。もし本当にわからないなら駅員さんに聞けばいい。
 わざわざ面識のない私を捕まえて助けを求めるなんて、最初からおかしかったのだ。

 きっと山井くんは気弱そうな女性に片っ端から声をかけ、カフェに誘っていたのだろう。

 だから凝ったパンケーキを頼まなかったのかもしれない。すでに満腹なくらい何回も食べていた可能性もある。

「架くんは、どこから見てたの?」

 たまたま架くんがあのカフェに居合わせたとは思えない。
 いつからこの一件を目撃されていたのだろうか。

「……駅。男と一緒に移動するところを見かけて。元々知り合いな感じはしなかったから、怪しくて尾行した」

「声をかけてきたあの人、愛媛出身だったの。私の父の田舎も愛媛で、親近感が湧いて……。それに純朴そうだったし、悪い人じゃないだろうって……」

「そんなの演技だろ。騙されんなよ!」

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