あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 俺は素直にホストを辞めた。辞めたら驚くほどすっきりした。
 なにがナンバーワンだ、バカバカしい。そう思えて仕方がなかった。

 高い家賃のマンションを引き払い、身の丈にあった単身用の普通のマンションに引っ越した。
 今のマンションは狭くて、イタリア製の高級家具は入りきらないため、ほとんどを二束三文で売った。

 それがまた皮肉にもせいせいして。狭いマンションのほうが落ち着くと思える自分が笑えた。

 所有していたベンツも売った。乗らないのなら持っていても仕方のない代物だ。
 しかも新しく住むマンションにベンツは合わない。

 肩に乗っていた重石(おもし)が取れたみたいに、なにもかもが身軽になった。
 なんだ、こんなことで楽になれたのかと気が抜けた。
 
 ずっと金髪に近い色だった髪を、美容院で真っ黒に染め、長めだった髪型も一般的な長さまで切った。

 それでも幾度かシャンプーしているうちに、色が抜けて元の明るい髪色に多少戻ろうとしてくる。

 ……すぐに変わるのは無理か、人間と同じで。

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