あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「凪子さん、“ハチ”って叫んでただろ? あれ、8号の“ハチ”」

 蜂でも蜂蜜でもなく、あれは数字だったのか……

「葉月に内緒だって言ってんのに、あんなにデカい声で叫んで。絶対わざとだよな。俺があわてふためくと思って面白がってた」

 ヘラリと笑う架くんだけれど、私はまだ全然笑えない。

 だってこのブランドは、少し前にテレビで見たことある。
 女優さんが結婚したニュースで、薬指に指輪を嵌めて、顔の横に手の甲を並べるお決まりのポーズを取っていた。

 もちろんそれとはデザインやダイヤの大きさが違う。
 だけど同じブランドなのだから、この指輪も相当値段が張るはずだ。

 ケースに刻まれているそのブランドのロゴを見つめていると、どんどんそっちの気持ちのほうが強くなってきてしまった。

「こんなに高いもの……もらえないよ」

 私は強張った表情のまま、そっと指輪をはずしてケースに戻した。

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