あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「大学生のときに軽い気持ちでその世界に入っちゃって。あの子の中の、綺麗な心をずっと切り売りしてたのよ。五年以上も」

 ……綺麗な心の切り売り?

「当時の架は、お金は溜まるけどなにも満たされない生活を送ってた。ホストをやって稼いだお金は、たしかに仕事の“対価”なんだけど、心を売ってお金に換えていたんだと私は思ってる」

 ホストが全員架くんみたいに稼げる人ではないのは理解している。

 だけどホストという職業は、プライベートも派手に遊んで、優雅な生活をしていて……
 私は心のどこかでそんな想像をしていた。
 
 架くんはやさしい心の持ち主なのに、もう少しで心のない人間になるところだったのだ。

「だから、あの子が自分で“汚いお金”って言ったのが、私はショックだったの。心を売ってまで得たお金なんだから、そんなふうに考えないでほしかった」

 社長の言葉を聞いているうちに自然と涙があふれ出し、両目からポロリと零れて頬を伝う。

『葉月は……ホストなんて嫌いだもんな。ホストやって稼いでた金でプレゼント買われても、うれしくはないか』

 架くんがあの日最後に言った言葉が、瞬時に頭を駆け巡る。

『架くんはホストをやっていたからお金の使い方が豪快なのね』

 私は……なんて酷い言葉を口にしたのだろう。
 架くんを心底傷つけてしまった。

 反省と自責の念から、ボロボロと涙があふれて止まらない。

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