あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 祖父は昔から私をかわいがってくれているが、名付け方は少しばかり安易な感じがする。
 八月で“葉月”とは、ひねりもなくそのまんまだ。
 けれど自分の名前は嫌いではない。

「来月誕生日なんだね」

「そう。三十路にまた一歩近づくの」

 小さく溜め息を吐く私を見て、架くんはおかしそうにフフッと笑った。

「嫌そうだな」

「微妙な年齢ですから」

 誰かいい相手はいないのか? とか、いろいろ心配されるお年頃なのだ。
 これからの自分の人生を選択する意味においても、分岐点に差し掛かる年齢なのかもしれない。


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