あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 ある意味働きやすく、居心地も悪くなかったのだけれど……

 ――― 人生、このままでいいのだろうか。

 ある日ふと、そんな考えが浮かんでしまった。

 自分自身は恋愛とは無縁だが、人の幸せを見聞きするのは嫌いではない。むしろ好きだ。
 数少ない女子の同僚の楽しげな恋バナを耳にすると、まるで自分が恋愛しているかのような錯覚に(おちい)って、素直に心から祝福していた。
 自分の話ではなくとも、それだけで満足だった。

 そんなときに偶然知り合ったのが、杜村社長だ。
 彼女と私は、同じカルチャースクールに通い、カラーセラピーの講座を通じて出会った。

 カラーセラピーは、私は単なる興味の範ちゅうだったけれど、社長は仕事に役立てたいと思って学んでいたらしい。

 私たちは仲良くなるにつれ、どんどん会話が弾んで一緒に飲みに行くようにもなった。
 そしてこの会社、㈱スターシェードで働かないかと声をかけてもらったのだ。

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