素顔で最高の恋をしよう
 他の女性を寄せ付けたくないほど、社長の中で架くんの存在は大きく、自分の手中におさめておきたい気持ちなのだろうか。
 お互い本気ではない関係なのか、もしくは過去につきあっていた仲なのかもしれない。社内での噂が当たっている可能性がある。

 そんな想像が頭をかけめぐったけれど、これ以上ストレートな言葉をぶつけることはできなくて、私はモヤモヤしたまま黙り込んだ。

「そろそろ帰ろうか」

「うん」

「送るよ」

 先にベンチから立ち上がった架くんが、私に向かって堂々と右手を差し出す。

「俺のこと嫌いじゃないなら、繋ごう」

 手なんて、そんなに簡単に繋ぐものではないけれど。
 彼の少しの自信と大胆さ、そしてイケメンから醸し出されるキラキラの笑顔に……負けてしまった。

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