あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
「なっ、なにするのよ……」

 もう、わけがわからない。架くんはなぜ怒って私にキスしたのか……。

「こんなこと、誰とでも簡単にするものじゃないでしょ!」

「俺、簡単になんてしないよ」

「……え?」

 給湯室に押し込まれて急にキスされたのだから、私のほうが怒って当然のはずだけれど、架くんの表情に切なさが混じっていて、それ以上何も言えなくなってしまった。

「誰にでもすると思ってた?」

 ゆらゆらと揺らめくその瞳は、涙は出ていないのに泣いているように見えた。

「……ごめん」

 うつむきながらつぶやいた架くんは、最後に私の頬をそっと撫でて、そのまま給湯室を出て行ってしまった。

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