傷む彼女と、痛まない僕。

 「北川くん、部活どう??」

 吉野さんは、自分が勧めた部活で僕が上手くやっていけているのかが心配だった様だ。

 「楽しいよ。 凄く。 入って本当に良かった」

 立ったままの吉野さんを見上げて微笑むと、

 「そっか。 良かったね」

 吉野さんが柔らかい表情で笑い返した。

 こんな笑顔が出来る吉野さんは、いつも顔を顰めているけれど、アリ踏み潰したりするけれど、本当はあったかい人なんじゃないかなと思う。

 小山くんは、きっと吉野さんのそういう所が好きなんだろうな思う。

 「そりゃ、楽しいよなー、北川。 バスケ部のアイドルマネージャーに好かれちゃってるし」

 小山くんが、空いていた席の椅子を2つ持ってきて、『座りなよ』と1つを吉野さんに差し出した。

 吉野さんに『ありがとう』と言われ嬉しそうな小山くんは、無言ながら視線でからかう僕に、『お返し』とばかりに虚偽の恋バナをまたも仕掛けてきた。
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