傷む彼女と、痛まない僕。


 ドキドキはするものの、吉野さんの肩は、匂いは、心地良くて何故か安心感があった。

 不思議とだるさも和らいだ気がして、

 「・・・・・・なんで??」

 ふいに声も出る様になった。

 「北川くん、『病気に気付かずに死んじゃう事もある』って言ってたじゃん。 ちゃんと診てもらった方がいいでしょ」

 吉野さんは、始業式に話した僕の話を覚えていたんだ。 

 「・・・覚えていてくれて、ありがとう。 吉野さん」

 「・・・別に。 忘れてなかっただけ」

 吉野さんは、僕がバスケ部のみんなに心配をかけてしまった事を気にしているだろうと思ったのだろう。 僕に気を遣わせない様に僕の『ありがとう』を受け取らなかった。

 吉野さんが、僕の話した事を覚えていてくれた事、嬉しかったのにな。
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