傷む彼女と、痛まない僕。

 吉野さんにおんぶされながら試合会場を出て、吉野さんが捕まえてくれたタクシーで病院に向かう。

 「北川くん、肩、もたれかかって良いよ」
 
 僕の左隣に座った吉野さんが、右手で僕の髪にそっと触れ、僕の頭を自分の肩に持っていこうとした。

 さすがにそれは出来ないと、ふるふる頭を左右に振るも、

 「大丈夫。 ワタシも恋愛しない人だって言ったでしょ。 北川くんの気を惹いてやろうって魂胆じゃないから。 だるいんでしょ??」

 声も出ない、自力で歩けもしない僕の抵抗なんて、軽くあしらわれてしまい、吉野さんの肩に頭を乗せられてしまった。

 そう。 僕は恋をしない。

 でも、吉野さんは分かっていない。

 僕だって高2の男子だ。 こんな事をされればドキドキするに決まっている。
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