この勇気をくれたのは君だったよ



取り残された二人。




『……直哉、なんで来たの…?』


静かな時間が流れる中、私は直哉に問いかけた。






『…こんの大バカ野郎!

 男と話をつけるなら俺を呼べ!』



直哉はそう叫ぶ。


直哉、怒ってる…?






『愛菜、お前は女なんだぞ?
 
 相手は男、女のお前がいくら抵抗したって男の力には適わないんだ…。

 もし俺が来なかったらお前どうなってたと思う!?』





直哉が私に怒鳴る。


視線を反らせない位に、直哉に強い目で見つめられながら。







『愛菜、この間、俺言っただろ?

 女なら男を夢中にさせてみろ、って。

 身体じゃない、お前という存在で相手の心を夢中にさせろよ…な?』



いつの間にか私の両肩に直哉の手が置かれていて、直哉の手から、直哉が本当に私を変えようとしていることが伝わってきた。






『……無理だよ……。

 だって私は…身体で男を夢中にさせることは出来ても心でなんて……。

 それに私は汚い……沢山のどうでもいい人にこの身を委ねてきた……。

 こんな身体、誰も…』




その時、私の身体はふわりと温かい何かに包まれた。





『………な、お…や……?』





私は直哉の腕の中にいた-…



< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop