この勇気をくれたのは君だったよ
取り残された二人。
『……直哉、なんで来たの…?』
静かな時間が流れる中、私は直哉に問いかけた。
『…こんの大バカ野郎!
男と話をつけるなら俺を呼べ!』
直哉はそう叫ぶ。
直哉、怒ってる…?
『愛菜、お前は女なんだぞ?
相手は男、女のお前がいくら抵抗したって男の力には適わないんだ…。
もし俺が来なかったらお前どうなってたと思う!?』
直哉が私に怒鳴る。
視線を反らせない位に、直哉に強い目で見つめられながら。
『愛菜、この間、俺言っただろ?
女なら男を夢中にさせてみろ、って。
身体じゃない、お前という存在で相手の心を夢中にさせろよ…な?』
いつの間にか私の両肩に直哉の手が置かれていて、直哉の手から、直哉が本当に私を変えようとしていることが伝わってきた。
『……無理だよ……。
だって私は…身体で男を夢中にさせることは出来ても心でなんて……。
それに私は汚い……沢山のどうでもいい人にこの身を委ねてきた……。
こんな身体、誰も…』
その時、私の身体はふわりと温かい何かに包まれた。
『………な、お…や……?』
私は直哉の腕の中にいた-…