この勇気をくれたのは君だったよ







『俺は…先輩のこといいなと』


『うん、私の身体が、ね?』




後輩君は私に言葉を遮られると悔しそうな顔を見せる。









『私ね、恋とかそういうの信じないの。

 あれはただの幻、好きだとか惚れたとかくだらない。

 あんなの子どもの頃のおままごとみたいなもんでしょ?

 それよりリアルに感じられるのはこういう関係だけ。

 もし君がそれでいいなら、次の機会を作ってあげてもいよ?』







私の言葉に歪んでいく、その顔。



その顔を見るのが私の最大の楽しみ。







『………分かりました』




静かに答える後輩君に思わず笑みが零れてしまう。









『分かった?

 愛とかそういうのがあるなら、君は私に“そんなこと言うな”とか“そんなことするな”とか言うと思うよ?

 けど、君はそうは言わなかった、つまり君は私のことなんて好きじゃない。

 でも、そういう関係の方が楽だし、次の機会を作ってあげる』




私はそれだけ言って、後輩君に携帯の番号を書いた紙を手渡す。









『基本、月曜日と金曜日は先輩に呼ばれてるから。

 それ以外の平日で声をかけてね?』







さて、君はどうする?



このまま好きとかなんちゃら言って連絡してこない?



それとも身体を繋げる喜びを知って、連絡してくる?







君に、選ばせてあげる。





楽しいね、後輩君。









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