この勇気をくれたのは君だったよ
後輩君と別れ、私は鞄を取りに教室に向かう。
教室の入り口まで来たところで、中から笑い合う声が聞こえる。
そっと教室の入り口に耳をやると聞こえてくるのは男女の声ー…
私は教室の出入り口についてるガラス窓から中の様子を窺った。
同じクラスの吉住さんと藤本が笑い合ってる。
『それじゃ、藤本君、またね』
そんな声のしばらく後に、吉住さんが現れた。
『あ、愛菜ちゃん、また明日ね!』
そう言って、微笑む吉住さん。
私は“うん”とだけ返す。
私の返事を聞いた吉住さんは私にあろうことか手を振った。
そして廊下を小走りしていく吉住さんの後ろ姿を見つめる私。
あんな子を、男は心から好きになる。
笑顔が可愛くて、誰にでも平等に優しく出来る、あんな子を。
私と真逆なあの子…