この勇気をくれたのは君だったよ





後輩君と別れ、私は鞄を取りに教室に向かう。



教室の入り口まで来たところで、中から笑い合う声が聞こえる。




そっと教室の入り口に耳をやると聞こえてくるのは男女の声ー…






私は教室の出入り口についてるガラス窓から中の様子を窺った。





同じクラスの吉住さんと藤本が笑い合ってる。








『それじゃ、藤本君、またね』




そんな声のしばらく後に、吉住さんが現れた。






『あ、愛菜ちゃん、また明日ね!』



そう言って、微笑む吉住さん。



私は“うん”とだけ返す。



私の返事を聞いた吉住さんは私にあろうことか手を振った。



そして廊下を小走りしていく吉住さんの後ろ姿を見つめる私。








あんな子を、男は心から好きになる。


笑顔が可愛くて、誰にでも平等に優しく出来る、あんな子を。







私と真逆なあの子…







< 4 / 23 >

この作品をシェア

pagetop