アリスには赤い薔薇を
猫には白兎の首を
<はなせ~よ>
「石が喋るなんて
聞いたことないよ」
「そう?」
「普通喋らない
……けど」
ここは不思議な
国だったことを
私は思い出した。
「ここでは
アタリマエ?」
「そんなとこ。
ここでは喋らない
モノの方が少ない
いつもは黙ってる
だけでね」
ふぅんと私は
頷いた。
今踏んで
しまっている
雑草も喋るの
だろうか?
<いつま~で
踏んでるだ~よ!>
「…………」
チェリシィは足を
石からどけて
咬まれないよう
掴んだ。
<なんだ~よ
はなせ~よ>
「なんでアリスを
咬んだの?」
いつもの温厚な
チェリシィの声じゃなく
敵意のこもった
怖い声だった。