横顔の君




「意外と多いですね。」

「本当ですね。」



確かに照之さんの言う通りだった。
文豪の生涯を描いたものだなんて、けっこう固いイメージがあるからガラガラかと思いきや、それなりに人は入っていた。
私達は、適当な席に並んで座った。
ただそれだけのことに、また私は緊張する。
だって、今までは向かい側の席だったからそれなりの距離があったけど、今はすぐ隣に照之さんがいるんだもの。



ちらっと隣の照之さんを覗き見ると、それは、いつもの横顔…
鼻筋の通った端正な横顔…あの人の視線が、パンフレットの文字を追っている。



やがて、場内が暗転し、映画の予告編や宣伝が流れた後、静かに本編が始まった。



< 39 / 130 >

この作品をシェア

pagetop