横顔の君




「だいぶ、進みましたね。
今は、どのあたりですか?」

「マークが妖精界に足を踏み入れたあたりです。」

「あぁ…なるほど。」

いつものファンタジー小説を、今日もまた10巻買った。



「あ、あの…隠岐さん…」

「はい?」

「良かったら、これ…ご一緒していただけませんか?
今度の日曜日なんですけど…」

そう言って、私はあるパンフレットを照之さんに手渡した。



「なんですか?」

「同人誌の即売会みたいなものらしいです。
以前、照之さんは携帯小説も読むっておっしゃってましたよね?
それで、先日ネットを見てた時、たまたまみつけて、面白そうだし私も行ってみたいなぁなんて思ったんですが、やっぱり一人で行くのはちょっと心細いし、かといってこういうものに興味を持ってる友達もいなくて…」

「あぁ、確かテレビで見たことがあります。
アニメのコスプレをした人とかがたくさんいるあれですよね?」

「そうなんですか?
同人誌の即売会みたいに書いてありましたが…」

「あれ?じゃあ、違うのかな?
でも、面白そうですね。
僕はネットはしないから出版されたものしか読んだことはありませんが、まだ出版されてなくても面白いものを書かれてる人はたくさんいそうですよね。
そういうのは普通の書店でも買えないわけですし…あぁ、なんだか本当に面白そうだ。
ぜひ、連れて行って下さい。」

「本当ですか?」

照之さんは快諾して下さったから、それからはとんとん拍子に話が進んだ。
うちからは、何度か乗り換えて行かなくてはならない。
やはり今度も最寄り駅ではなく、乗り換えのある大きな駅で待ち合わせることになった。
それは寂しいことだけど、予想出来ていたことでもある。



(一緒に出掛けられるだけでも幸せだ…!)



自分にそう言い聞かせ、余計なことは考えないようにした。
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