嫌いじゃない。
なぜか私は中庭に連れだされている。
「ねぇ、用事は何?」
「オレと仲良くなって下さい!」
そんなに満面な笑みで言われても困るんだけど。
「ねぇ先輩。先輩は俺のこと嫌い?」
「嫌いっていうか、あんたのこと私よく知らないし」
「じゃあ、これから知っていってよ。オレのこと」
なぜだろう。私なんか彼女にしても絶対つまんないだろうに。
「でも私、男に興味ない」
「じゃあさ、男というよりもオレ1人の人間として興味をもってよ。ね?」
たっぷり20秒間の間を空けたあと
「あんたが…興味をもたせてくれるっていうんなら…」
「ホントに?!」
無意識のうちに、顔を俯かせてそう答えていた。