音ちゃんにお任せ



なにが、あったんですか?
それ程、お辛いことが?




「ごめ・・・、音ちゃん・・・、ごめん・・・」

「いいえ、いいえ!辛いときには、甘えていいんです!泣いたって、いいんですよ!」





私にはなんの力もないけれど。
肩を貸すことくらいはできます。

八つ当たりでも、泣き言でも、愚痴でも、聞くことはできます。



うまい言葉はかけられませんが。



聞くことくらいならできるんです。





「お辛かったんですね。とても、とても、悲しいことがあったんですね。大丈夫です。泣き止むまで、こうしていましょうね」

「・・・っ、音ちゃんッ・・・音ちゃん・・・っ」




しがみ付くように何度も何度も私の名を呼びながら泣きじゃくる。
その激しい想いに、思わずつられて浮かんでくる涙を私は必死に押し込めた。

泣きたいのは、結斗くんだから。
私は、支えてあげないと。


ムリするのは、きっとここの兄弟の悪い癖ですから。
せめて、私の前では甘えていてほしいんです。




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