音ちゃんにお任せ



「じゃあ、さっそくよろしくね!」

「はい!」



それぞれの持ち場に分かれると、お客さんもぼちぼち入店してきます。
私は足を引っ張らないように、気を張って周りを見る。


働く一ノ瀬くん。
愛想がいいわけではない一ノ瀬くんの接客ですが、無駄がなくスムーズでお客様を自然とエスコートしていく。

一言二言発せられる言葉がとても丁寧です。



一ノ瀬くんの接客に、思わず見惚れてしまいます。



「かっこいいでしょ。働いてる瑞己」

「えっ、あっ、は、はい・・・っ」

「ふふっ、素直ね。愛想ないくせに、エスコートがうまくて、逆にクールな対応がお客さんにウケてんのよね」

「なるほど」

「瑞己目当ての客も多いのよ?」




確かに、頷けます。
接客が上手だから、愛想がなくても技術がそれを上回っているから気にならない。
その上に、一ノ瀬くんのもともとのかっこいいヴィジュアルがお客様の心を鷲掴みにするんですね!

すごいです!
私にはまねができませんね。




「かっこいいって、得よね」




由紀子さんはしみじみと呟く。
由紀子さんこそ、とても美人さんなんですけども。




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