音ちゃんにお任せ
「あんな瑞己初めて見たかも」
お皿を由紀子さんと並んで洗っていた時小声でそう言われた。
初めて?
なんのことでしょう。
「ほら、楽しそうに話してたじゃん」
「楽しそう・・・ですか?楽しかったのは私で、一ノ瀬くんはどうでしょう・・・」
「今まで見たことない穏やかな表情だったわよ!みんな、見惚れてたんだから」
由紀子さんにそう言われ、ホールの方を片付けている一ノ瀬くんを見た。
「それに、あの割って入ったのだって、ヤキモチでしょ?」
「・・・へ?」
「オーナーが音ちゃんにちょっかい出してたから妬いたんじゃない?」
「ま、まさか!」
一ノ瀬くんが、ヤキモチなんて。
ありえません。
そんな、まるで私が好きみたいな。
そんな事、絶対に。
「いい感じに見えたんだけどなぁ」
由紀子さんはなんだかおもしろそうです。