音ちゃんにお任せ



「ありがとうございます」




受け取り、箸でつまむと一口頬張る。
美味しいです。

胸が、ドキドキしてる。


これが、恋なのでしょうか。



「おいしいです。一ノ瀬くんも食べましょう!」

「あ?・・・ああ」

「これ、お勧めです」




こうして、話をすること、そういえばあまりなかったかもしれません。
一ノ瀬家へ行っても、一ノ瀬くんはバイトでいないことの方が多くて。
いたとしても、口数の少ない一ノ瀬くんとはあまり会話をする機会がもてなくて。


だから、とても嬉しいのです。
とても、楽しいのです。




こんな些細なことがものすごく。






「おいしいですね、一ノ瀬くん」

「ああ・・・そうだな」




言葉をかければ返してくれる。
そんな些細なことが。



とても幸せに感じるのです。





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