音ちゃんにお任せ



「こんなところでなんだし、中にどうぞ」



一瞬暗くなった空気を、結斗くんがパッと変えて中に案内してくれる。
そういえば、ずっと玄関で話し込んでいた。




「今日は、私が頑張って作ったの!」

「わあ!すごいです!パーティーですね!」




テーブルに並べられた料理の数々。
嬉しくてつい声が上がる。




「覚めちゃうし、ちょっと早いけど食べようぜ」

「そうだね。こと、エプロンしなね」

「うん!こと、おとちゃんのおとなりがいい!」





琴心ちゃんはパタパタとエプロンを取り出し、自分でエプロンをつけた。
そして席についてご飯を食べる。



「これ、かえって全部用意してくださったんですか?」

「ああ、今日学校半日だったんだ。だから、コツコツと」

「ありがとうございます」




こうして誰かと食卓を囲むのもずいぶん久しぶり。
田舎の家族を思い出す。




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