紙ヒコーキと恋の行方

花火


「今日、山下、花火見に行かなかったでしょ」

「あ、うん……」

帰り道、やっぱりいつものように佐々木から話を始める。

花火のある間、自習室には私ぐらいしかいなくて。

佐々木もいなかった人の一人。

女の子に誘われて出て行くのを見てしまったのだ。

だから菜っちゃんに言われたことはやっぱ違うよな、うん。

だって、気があるとかなら誘ったり……! 

そんな風に思ってしまう当たり、私こそが自分勝手なのだとわかっているのだけれど。

そんなことを考えていたら、急に佐々木は立ち止まったらしくて、少し後ろを歩いていた私は思いっきりぶつかってしまったのだ。

「さ、佐々木さん……! 何で急に」

「公園、寄ってこ?」




「う~ん、夜になると涼しくなるもんだね」

「まあね、もう秋も近いしね」

なんだかドキドキする。

虫の音が煩いほどに聞こえてくるからこの胸の音は聴かれていないだろうけど、それでも隠そうとしなくては、やっていけない。

私は平静を装って何か話題を探そうとした。
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