紙ヒコーキと恋の行方
「よし、これ、持って?」
ふと私の手をとって何かを持たせた。
「え、これ、線香花火?」
「いやー、絶対山下は花火見に行かないと思ってたし。だけどやっぱ夏の楽しみは味わっとくもんでしょ? 息抜き息抜き」
さあさあと言いながらライターをポケットから取り出して、火を点けようと線香花火に近づけた。
いつもライターなんて持ってるの?という私の疑問に、
「どうだと思う?」なんて彼は笑って冗談交じりに返してくる当たり、生意気な奴め、と思ってしまう。
「せーのでつけようぜ? どっちが長く灯せられるか、勝負」
「はは、私負けませんよ? ちっちゃい頃地区の線香花火大会で一位とって熱海旅行取ったことだってあるんだから」
「いつの話だよ、それ。っていうか、地区の花火大会でっかくない?」
火を、点ける。
小さいながらも赤く輝きだしたそれに、私はしばらく見入ってしまった。
きれいだ、な……