紙ヒコーキと恋の行方
「あぁ……」
先に線香花火の玉が落ちていったのは私の方で、その炎と共に私の声もまた、暗闇に溶け込まれるように消えていった。
「勝ったー! 山下ってば口ほどでもないな」
「ちょうど風が吹いただけだから!」
「可愛くないやつめ」
そんな言葉を言われてムッとしながらも、胸がチクりと痛んだのが分かった。
だけど、そんな気持ちを察せられるのは嫌で、私はしゃがんでいた状態から立って、背伸びしながら言った。
「ああー、でも久しぶりに楽しかったよ。ありがとね」
「いえいえ」
「っていうか、いつ買ったの? 線香花火なんて」
「? ああ、それは皆が花火見に行ってる時?」
へ……佐々木は、花火、見てなかったの?
「な、なん……」
「よかった、喜んでもらえたみたいで」