失恋ゲーム。
斗真はそんな瑠樹を見て、優しく微笑んでいた。シーンと静まった体育館。
「これは、僕達の兄や姉の為にしています。
…最低なままの、ゲームにしないように。」
辛そうに、苦しそうに声を出す斗真は痛々しく見える。実際に、皆の顔も苦しそうに見えた。
「ルールは言いませんが、兄や姉の時も姉がいじめられることがありました。なお、主人公プレイヤーの畑石さん、女子プレイヤーの棚定さん、中山さんをいじめた場合、停学処分もしくは、退学となりますのでくれぐれもよく行動するように。」
話を聞いて、理解することが大変だった。停学、退学!?
だけど、考えている間に話は進んでいく。
「では、代表して畑石さん挨拶を。」
「え、!?」
かなり、大きな声が出たと思う。斗真は、白々しい笑顔でこちらを向きマイクを渡してくる。
これは、受け取らないといけないパターン…?
私は、ゴクリと生唾をのむ。何を言えばいいの…!?
マイクを受け取り、口に近づけるが何も出てこなくて焦る。その焦りが、余計に思考を停止させる。
「…頑張れ。」
小さな、本当に小さな声で。隣のナチは、そう呟いた。
「え…。」
私は小さく声を漏らした。な、ナチが話した…!
私はそれが嬉しくて、もうどうでもいいや。そう、マイクをonにした。
「主人公プレイヤーの畑石結愛、です。」