美男子の恋事情!

「春香。おばさんが退院するまでうちにおいで」


「大ちゃん……いいの?」


「当たり前だろ?お前は俺の大事な妹なんだから」



麻里香との結婚は無くなってしまった。


だけど、春香が俺の妹的存在なのは変わらない。



「俺を本当の兄貴だと思って甘えていいから……だから、一人で泣くなよ?」



まだ春香の悲しみは続くだろう。


だけど、俺が支えてやる。兄貴として。







笑顔で溢れる一日になるはずが、涙の一日になった。


人生で最も幸せな日になるはずが、絶望の日になった。




今朝、麻里香と別れた時間まで戻ってくれと。


麻里香がいない時間なんて止まってしまえばいいと。


何度も何度も何度も思った。



でも、時間は無情にも過ぎていく。


麻里香のいた時間が過去に変わっていく。



それでも俺は生きてかなきゃいけない。


まだ気持ちの整理なんてつかないし、この現実を受け入れられない。


今でもひょっこり麻里香が現れるんじゃないかと、辺りを見渡してしまう。



こんな俺を麻里香はなんて言うかな。


きっと“シャキッとしなさい”って背中に気合いを入れてくるだろう。



どんなに願っても麻里香は帰って来ない。


なら俺は、麻里香の大事な物を、天国の麻里香と一緒に守っていこう。



そうやって、俺の中の麻里香と共に生きていく。この先もずっと。



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