美男子の恋事情!
今でもこの朝日を見ると、涙が滲むことがある。
生徒の元気な声が耳に届いて、今日も一日が始まると実感する。
「さてと。行くか」
俺は目尻に滲んだ涙を指で拭うと、ふぅ、と息を吐き呟いた。
俺は熱血タイプの教師じゃないが、この仕事は天職だと思ってる。
高校生はとにかく生意気で、正直むかつくことだってある。
変に大人振って空回りをする奴なんてザラだ。
だけど、まだまだガキだなって思ってたら、不意に大人な表情を浮かべてドキッとさせられることもある。
子供から大人へ急激に成長する、大事な時期。
漠然としていた自分の未来をこの三年で考え、進む道を決めなくてはいけない。
社会のこと、まだまだ知らないことばかりなのに時間は止まらない。
ここで選択を間違えたら、そいつの人生が狂ってしまうかもしれない。
俺も高校時代、進路に凄く悩んだ。
麻里香や友達はやりたい事があってすぐに進路を決めていたけど、俺はそれが全くなくて。
一人置いて行かれた気がした。
そんな時、いつまでも話を聞いてくれたのが担任で、俺はそんな教師になりたいと思った。