美男子の恋事情!

今でもこの朝日を見ると、涙が滲むことがある。


生徒の元気な声が耳に届いて、今日も一日が始まると実感する。



「さてと。行くか」



俺は目尻に滲んだ涙を指で拭うと、ふぅ、と息を吐き呟いた。


俺は熱血タイプの教師じゃないが、この仕事は天職だと思ってる。



高校生はとにかく生意気で、正直むかつくことだってある。


変に大人振って空回りをする奴なんてザラだ。


だけど、まだまだガキだなって思ってたら、不意に大人な表情を浮かべてドキッとさせられることもある。



子供から大人へ急激に成長する、大事な時期。



漠然としていた自分の未来をこの三年で考え、進む道を決めなくてはいけない。


社会のこと、まだまだ知らないことばかりなのに時間は止まらない。


ここで選択を間違えたら、そいつの人生が狂ってしまうかもしれない。



俺も高校時代、進路に凄く悩んだ。


麻里香や友達はやりたい事があってすぐに進路を決めていたけど、俺はそれが全くなくて。


一人置いて行かれた気がした。


そんな時、いつまでも話を聞いてくれたのが担任で、俺はそんな教師になりたいと思った。




< 113 / 145 >

この作品をシェア

pagetop