美男子の恋事情!
「ホントですって」
「ふ〜ん。ならいいけど、あんま二人で遊びに行ったりすんなよ」
「……なんで大ちゃんがそんなこと」
拓真は不審者を見るような目付きに変わり、俺をジッと見てくる。
こいつ、まさか……あらぬ事を考えてねぇか?
「まさか大ちゃん、近衛のこと好ーー、」
「んなわけねぇだろーがっ‼︎」
予想通りの拓真の発言。
こいつは単細胞だ。今朝、心の中で少しでもこいつを褒めた自分を殴ってやりたい。
「え?違うの?俺はてっきり生徒にラブなんだと」
キモい笑みを浮かべて、手でハートを作る拓真。
霧島の奴、なんで拓真なんかがいいのか。霧島ならもっと良い男捕まえられるのに。
「その手やめれ。アホ」
「アホ言うな、教師が」
「近衛は俺の幼馴染の妹。小さい頃からあいつを知ってるから兄弟みたいなもんだよ」
拓真のアホ加減に、はぁ、とため息を吐きながら言う。
「あ〜、そういうこと」と手をぽんと叩くと、「そうならそうと早く言ってよ」と納得したようだ。
「とにかく友達として遊ぶんなら百歩譲っていいけど、あいつで遊ぶのは止めろよ。万が一泣かせたらシメるぞ」
拓真の目を、本気を込めて見据える。
拓真はパチパチと何度か瞬きを繰り返した後、口の端を少し上げてふっと笑った。
「……大ちゃん。それ兄貴としての忠告?」
「ああ、そうだ」
決めたんだ。あの絶望の日に。
俺が春香を守ると。