美男子の恋事情!
あの日、春香が俺のことを兄貴としてじゃなく男として見てることを知った。
いつからだろう。全然気付かなかった。
麻里香に『大介は鈍感だからね』と言われたけど、麻里香は気付いていたんだろうか。
今ではもう、聞けないけど。
「ーーいちゃん!大ちゃん!」
拓真の声にハッと我に返った。
俺の顔の前で手を振る拓真が、「大丈夫?」と眉を寄せている。
ヤバいヤバい。生徒に心配されるほどボーッとしてたのか。
「俺ら百周走ったからな!ちょっと水飲んでくるわ」
「お、おう……お前ら凄えな。本当に走ったのかよ」
時計を見ると、部活が始まってからまだそんなに時間は経っていない。
こいつら、マジ超人並の高校生だな。
「あ、ちょい拓真」
海生と水道に向かおうとしてる拓真を手招きする。
そういや、こいつに言っとこうと思ってたことがあったんだ。
「何ですか?俺、喉カラカラなんですけど」
「お前さ、近衛とどういう関係?」
「近衛ですか?ただの友達ですけど……」
「本当か?」
ジッと拓真を見据える。
急に変なことを聞いた俺に、若干拓真は狼狽えてるようだけど。