ほたるの初恋、消えた記憶
バンド演奏は学園祭のクライマックス。


それまで時間があるので、美幸と色んなお店を回る事にした。


食べすぎだと美幸に止められたけど、やめられません。


体育館では他のクラスの劇や漫才が始まっていた。


フランクフルトを食べながら歩いていると、祐吾と健斗がこちらへ向かって歩いて来るのが見えたので、慌てて隠れると。


健斗に隠れても意味ないよと言われてしまう。


思わずごめんと謝ると、祐吾が微笑んでくれた。


それだけで涙がこぼれそうになる。


美幸が本当にほたるはバカだと言う。


だって、だって、祐吾にはあかりさんがいるんだよ。


あかりさんは祐吾を必要としてるのだから。


私は邪魔をしたくない。


「その気持ちはあかりさんに失礼だと思うけどね。」


どういう意味?


「自分の気持ちを隠していい子でいたいんでしょ。」


返すことばがなかった。


私はいつもそうだから。


親に対しても友達に対しても、自分の気持ちは隠したままだった。


自分の気持ちを隠して、必死でいい子でいようとする。


そこから中々脱け出せない。























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