ほたるの初恋、消えた記憶

祐吾がいる日常

楽しかった北海道旅行から帰って来た。


たまりにたまった夏休みの課題を必死にやろうと試みても、全く進まない。


暑いしだるいし、美幸に助けてと言っても無視されるし。


祐吾は今までの遅れた分の勉強を取り戻さないと、ほたると一緒に卒業が出来ないと必死になってる。


父さんには民宿の手伝いはしなくていいから、課題を済ませろと言われた。


もう無理。


家を飛び出して裏山に向かった。


頭を冷やそう。


「ほたる。」


誰かがよんだけど、誰もいない。


近づく足音。


怖くなって走った。


いきなり肩を捕まれる。


「美幸から電話をもらった。ほたるが祐吾に会えないと泣いてるって言うからさ。」


美幸のバカ。


そんな事言ってないのに。


「一緒に課題をやろう。」


「本当に。」


祐吾は簡単に遅れをとり戻したらしい。


羨ましい話です。


祐吾は何でも出来て優秀なのに、本当におバカでごめんなさい。


祐吾がケラケラ笑う。


ほたるが優秀になったら面白くないと言った。


「今のままのほたるが好きだよ。」


顔がにやけた。


でも、この後直ぐに後悔した。


祐吾のスパルタ式の教えかたは半端なくて、課題が終わるまで夕食を食べさせてもらえなかった。


徹夜で数学の問題を解くことになり、眠ろうとすると、丸めたノートで頭を叩くのだ。

「この問題が解けなかったら、朝食も抜きだからね。」


祐吾の鬼。


朝食の為に必死に数学の問題を解いた。


私だって、やる時にはやるんだからね。


見てなさいよ。










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