*武士の花*~花は桜木、人は武士~
2人だけで、町に出るのは初めてのこと


なんだかんだ喋りながら、店を廻る


渉「これ!牡丹に似合いそう!!」

椿「わぁ!可愛い!!これで決まりね!」


式に行かないって、言ったけど

椿と俺で贈り物がしたくて、西本願寺へ


門番は、知らない人だった



渉「あの~
弘吉さんを呼んで下さいませんか?」


椿「弘吉は、駄目よ!」


渉「でも…牡丹だって駄目でしょ?」


門「椿太夫さんですよね?
それに…桜太夫の…お姉さん?
あれ?お兄さんじゃなかったか?」


まじまじと顔を見られ、自分でも赤くなるのがわかる


椿「姉の七重どすえ」

渉「へ?」


椿がにっこり笑う


渉「あははっ 七重どす」



不自然すぎるだろ……


なのに、門番はすんなり通してくれた

宴会の真っ只中、仕事じゃないから

椿も入りづらいみたい


2人で目を合わせ、襖をそっと開ける


ガシャン


俺達に最初に気づいたのは、沖田

俺の目の前には、刀の先が…


渉「沖田…刀を降ろそうか?」


沖「渉、今日も可愛いですね!?」


コテン


仕返し!!


沖「あははっ 久しぶりですねぇ!!」

椿「何?この人、投げられるのが嬉しいの?」

渉「そうなの…気にしないで」


上座に弘吉と牡丹を見つけ、椿と手を振る


門「椿太夫さんと七重さんをお連れしました!!」


何で、今頃そんな大声でいうの?

恥ずかしい!!

最初に襖開けるとき、言ってくれれば

刀向けられずにすんだんじゃねぇか?


椿も恥ずかしいみたいで、俺の手を握ってきた

その手を引いて、皆の視線が痛いけど

牡丹の前に座る


椿、渉
「「本日は、おめでとうございます!」」

弘吉、牡丹

「「ありがとうございます!」」


椿「コレ、七重と選んだの」

牡「わぁ!!嬉しい!!」


とびきりの笑顔と嬉し涙を見た


椿「私たち、ゆっくり出来ないので…」


皆に飲んでけとせがまれたが、椿がかわしてくれた


牡「椿姉さん!!七重姉さん!!
おおきに……」


七重と呼ばれることがくすぐったい


渉「お幸せに!」











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