*武士の花*~花は桜木、人は武士~
唇を放すと、カチコチに固まり

放心状態になった桜が、いた





やってしまった……









「……なんで?」




ポツリと桜の口から出た言葉に、返せる言葉が見当たらなくて、俺はもう一度
桜を抱きしめる





「え?……ちょっと、なんで?」







すっかり涙が引っこんで、戸惑う








でも、今、手を緩める訳にはいかなかった




すげぇ顔が熱い






「何も聞くな/////」







バタバタと暴れて、俺からすり抜けると



「これだから、色男は嫌いなんだ!!
どんな、女でも落とせると思うなよ!!」



その格好で、口悪ぃこと言うなよ……



ついでに、チッ と舌打ちまでして




俺を残し、パタパタと走り去って行った





落とせるなんて、思ってねぇよ



高嶺の花すぎだろ! ばぁ~か!!




なんで、男なんだよ




ぜってぇ望みねぇよ








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