二百文字小説【小さな玉手箱】
《23.どこまでも》

 都会に出ることにした。

 何年も前から悩んでいたが情熱は消せなかった。

 どんな困難があるのかわからないが、追い求める夢を裏切ることはできない。

 夢をつかまない限り、故郷には戻ってこないだろう。

 荷物片手に汽車に乗ろうとすると、声が聞こえた。

 別れを言わずにおいてきた恋人だった。

「お生憎さま。私はしつこい女で通っているのよ」

 手には小さな荷物。汽笛が乗り込めと響き渡る。

 迷惑だよという代わりに笑みが零れてしまった。
< 23 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop