二百文字小説【小さな玉手箱】
《61.眠気》

 授業中、彼があくびするのを先生は見逃さなかった。

「この問題を解きなさい」

 指名された彼は黒板の前に立つと難なく解いてしまう。

 予想外の展開に先生は驚きながら席に帰した。

 私は知っている。彼が有名大学を目指しているということを。

 夜遅くまで明りが点いている窓が、私の部屋から見えるから。

 きっと予習しているんだ。

 そんなことを考えながら大あくび。

「この問題を解きなさい」

 今度は私か。苦戦して解くと彼の笑顔が見えた。
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