二百文字小説【小さな玉手箱】
《64.おふくろの味》

 大学の寮生活をしながらアルバイトをしている。

 時給が高いのではじめたが、交替する人が決まっている。

「学校どうだった。勉強はかどってる?」

 俺と同じ歳の息子がいるという、おばさんだ。

 いつもしつこく俺の学園生活を聞いてくる。

 引き継ぎ時の弾丸トークもついていけない。

「それとさ。冷蔵庫の中の物、持って帰って」

 勢いに押されて「お疲れさまです」とも言えなかった。

 仕方なく冷蔵庫を見ると総菜が。

 故郷の母を思い出した。
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