二百文字小説【小さな玉手箱】
《70.同じ境遇、違う想い》

 彼に別れを告げられた。

 理由は私の束縛に疲れたというもの。けれど私は、彼に新しい彼女が出来たことを知っていた。

 雨の中、傘を差さずに歩く。すると一匹の子猫が歩いているのが見えた。

 首輪もない。親の姿もない。きっと捨てられたのだろう。私と同じように。

 可哀そうだと思って、手を差し出しながら呼ぶ。

 けれど子猫は私を無視して走っていった。

 前を向いて、しっかりとした足取りで。

 涙を拭う。自然と私の足も前に向いていた。
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